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進化学:古代のマラリア原虫ゲノムから明らかになったヒトマラリアの歴史

Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07546-2

マラリアの原因となるプラスモジウム属(Plasmodium)の原虫は、ヒトゲノムに対して非常に強力な選択圧を及ぼしてきた過去を持ち、抵抗性の対立遺伝子はこれらの原虫種の歴史的な広がりの概要を示す生体分子的な足跡となっている。しかし、マラリア寄生虫がヒトの病原体として出現し世界に広がった時期や経緯に関しては、議論が続いている。これらの疑問に取り組むため、我々は、16カ国から収集された、人類史の約5500年にわたる熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)から、高カバー率でゲノム規模の古代ミトコンドリアゲノムおよび核ゲノム規模のデータを得た。三日熱マラリア原虫および熱帯熱マラリア原虫は、ユーラシアの地理的に離れたさまざまな地域でそれぞれ紀元前4千年紀および紀元前1千年紀という早い時期から見いだされ、三日熱マラリア原虫に関するこの証拠は文献情報を数千年さかのぼるものであった。ゲノム解析の結果は、南北アメリカ大陸における熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫の疾患史の違いを裏付けており、現在は根絶されたヨーロッパ株と接触期前後の南米株の類似性は、ヨーロッパ人入植者がアメリカ大陸に三日熱マラリア原虫を持ち込んだことを示しているのに対し、熱帯熱マラリア原虫はおそらく大西洋をまたぐ奴隷貿易によって南北アメリカ大陸にもたらされたと考えられる。我々のデータは、マラリアの伝播に異文化間の接触が役割を果たしたことを明らかにしており、人類史にマラリア寄生虫が与えた影響に関する今後の古疫学的研究のための生体分子的な基盤を築くものである。さらに、ヒマラヤ山脈の高地で思いがけず熱帯熱マラリア原虫が発見されたことは、感染の状態から個人の移動能力を推定できる希少な事例となり、3000年近く前にこの地域で異文化間接触が存在したという新たな知識が得られた。

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