発生生物学:ヒト生殖細胞系列におけるエピジェネティックな再プログラム化のin vitro再構築
Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07526-6
エピジェネティックな再プログラム化によって、親のエピジェネティックな記憶は初期化され、始原生殖細胞(PGC)は有糸分裂期の前精原細胞あるいは卵原細胞に分化する。この過程は、性的二型性の生殖細胞に全能性を生じさせることを確保している。ヒトにおいてエピジェネティックな再プログラム化をin vitroで再構築することは、依然として基本的な課題である。今回我々は、大規模な細胞数の増幅(約1010倍以上)を伴った、多能性幹細胞由来のヒトPGC様細胞(hPGCLC)にエピジェネティックな再プログラム化と有糸分裂期の前精原細胞あるいは卵原細胞への分化を誘導する戦略を確立している。骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達は、これらの過程の重要なドライバーである。BMPが駆動するhPGCLC分化には、MAPK(ERK)経路の減弱と、de novoおよび維持の両方のDNAメチルトランスフェラーゼ活性が関与しており、これが複製に伴う受動的なDNA脱メチル化を促進すると考えられる。ヒト生殖細胞に豊富に存在する能動的DNAデメチラーゼであるTET1を欠損するhPGCLCは、バイバレントなプロモーターを持つ主要な遺伝子群の脱抑制により、羊膜を含む胚体外細胞に分化する。これらの細胞は精子形成および卵形成に不可欠な遺伝子群を完全に活性化できず、また、これらの遺伝子群のプロモーターはメチル化されたままである。我々の研究は、ヒトでのエピジェネティックな再プログラム化の枠組みと、ヒト生物学における重要な進歩を示している。我々の結果は、有糸分裂期の前精原細胞および卵原細胞様細胞を豊富に作り出すことにより、ヒトのin vitro配偶子形成研究と、その生殖医療へのトランスレーションの可能性にも画期的な出来事である。

