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聴覚:魚類の方向性聴覚の機構
Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07507-9
多くの脊椎動物にとって、獲物や捕食者などの音源の位置を知ることは、生存に極めて重要である。陸生脊椎動物は、左右の耳に届く音圧の時間遅延や強度差を測って音源を定位している。しかし水中では、音の物理的性質上、両耳間差の手掛かりが非常に小さくなるため、魚類の方向性聴覚はほとんど不可能に思われる。にもかかわらず、行動面からは魚類の方向性聴覚が確認されており、その機構は何十年にもわたって謎のままだった。この驚異的能力を説明するのにいくつかの仮説が立てられており、その中には、魚類が微小な両耳間差に対して極めて高い感受性を進化させたというものや、魚類が音圧と粒子運動の信号を比較している可能性があるとするものがある。しかし、実験の難しさが確定的な説明を妨げてきた。今回我々は、これらのモデルを、最も小さな脊椎動物の一種である透明な硬骨魚Danionella cerebrumを使って実験的に検証した。我々は、音圧と粒子運動を選択的に制御することで、聴覚性驚愕反射の根底にある感覚アルゴリズムを分析した。その結果、この行動にはどちらの手掛かりも不可欠で、それらの相対的位相が方向を決めていることが分かった。また、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCT)と光学的振動計を用いることで、D. cerebrumにこの機構を実行できる感覚構造が備わっていることも分かった。D. cerebrumは、こうした感覚構造を現生の脊椎動物種の15%以上と共有しており、これは、この機構が音源方向の推定に広く使われていることを示唆している。

