Article
神経科学:Tabulae Paralyticaにおける脊髄損傷の単一細胞空間アトラス
Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07504-y
今回我々は、4つの脊髄損傷(SCI)アトラスをまとめたTabulae Paralyticaを報告する。これに含まれるのは、50万個の細胞の単一核トランスクリプトームアトラス、同一核内でのトランスクリプトームとエピゲノムの測定を対にしたマルチオームアトラス、4つの空間的・時間的次元にわたる損傷した脊髄の2つの空間トランスクリプトームアトラスである。我々は、これらのアトラスを共通の枠組みに統合して、脊髄内の損傷に対する応答を支配する分子的論理について詳細に調べた。Tabulae Paralyticaにより、SCIの結果を決定付ける新たな生物学的原理が明らかになった。これには、損傷に対するニューロンの保存された応答と規準から外れた応答、損傷後の神経回路再編成プログラムを上方調節する特定のニューロン亜集団のプライミング、ニューロンのストレス応答と神経回路再編成プログラムの間の逆相関、SCI後の免疫特権環境と神経外神経環境の間の三部構成神経保護バリア再確立の必要性と老齢マウスでのこのバリア形成不全などが含まれる。我々はTabulae Paralyticaを利用して、この三部構成バリアを再び確立させる若返り遺伝子療法を開発し、老齢マウスにおいて麻痺後に歩行の自然回復を引き起こした。Tabulae ParalyticaはSCIの病態生物学をのぞく窓となると同時に、四次元での多モードのゲノム規模測定結果を統合して生物学や医学研究を行うための枠組みを確立するものである。

