Article

免疫学:疾患に関連する遺伝子砂漠はETS2を介してマクロファージの炎症を指示する

Nature 630, 8016 doi: 10.1038/s41586-024-07501-1

自己免疫疾患や炎症性疾患の発症率の増加によって、ヒトの健康への脅威が急速に増大している。この状況は、利用可能な治療法の有効性が限定的であるのに加えて、薬剤開発の失敗率が高いことでさらに悪化しており、疾患機構のより深い理解が急務であることが浮き彫りになっている。今回我々は、この課題に機能ゲノミクスがどのように対処できるかを示す。我々は、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、原発性硬化性胆管炎、高安動脈炎とそれぞれ独立に関連付けられている領域chr21q22の遺伝子間領域ハプロタイプを調べ、その原因遺伝子であるETS2が、ヒトの炎症性マクロファージの中心的な調節因子であることを突き止めるとともに、ETS2発現の増幅がそれらに共通する疾患機構であることを明らかにした。ETS2によって調節される遺伝子は、疾患の影響を受ける組織で顕著に発現しており、炎症性腸疾患のGWASヒットには、これまでに報告されたほとんどの経路よりも豊富に含まれていた。静止状態のマクロファージでETS2を過剰発現させると、chr21q22関連疾患で観察される炎症状態が再現され、TNFやIL-23など、複数の薬剤標的の発現上昇が見られた。我々は、細胞シグネチャーのデータベースを用いて、この経路を調節する可能性のある薬剤を特定し、1つのクラスの小分子がin vitroおよびex vivoで強力な抗炎症活性を持つことを確認した。以上の結果は、機能ゲノミクスの力をヒトの初代細胞に直接適用することで、免疫介在性疾患の機構と有望な治療機会を特定できることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度