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微生物学:農地のN2O排出削減のために細菌が持つ可能性を解き放つ

Nature 630, 8016 doi: 10.1038/s41586-024-07464-3

栽培土壌は、N2Oの排出により地球温暖化に大きく寄与しており、その緩和は困難なことが分かっている。N2Oを生成する微生物による窒素変換には何通りかあるが、N2Oの生物学的シンクは、N2OからN2への還元を触媒する酵素NosZのみである。土壌中のNosZ活性を強化すればN2O排出を削減できるが、土壌微生物相のそうした生物工学は困難だと考えられている。これに対し我々は以前、有機廃棄物を、土壌中での繁栄能力で選抜したN2O呼吸細菌の基質および媒介物として用いることにより、これを実現する技術を開発した。今回我々は、その中で最も有望なN2O呼吸細菌であるCloacibacterium属の一種のCB-01株に関して、N2O還元の生物動力学、土壌中での生存、野外実験でのN2O排出に対する効果を分析した。CB-01株の細胞が1 ml当たり約6 × 109個まで好気的に増殖したバイオガス生産廃棄物を施肥すると、N2Oの排出は土壌の種類によって50~95%減少した。CB-01株の生物動力学的なパラメーターは他のN2O呼吸細菌のものより劣っており、この細菌株の強力で持続的な効果は、そうしたパラメーターではなく、この株の土壌中でのしぶとさに起因している。今回のデータをヨーロッパのレベルまで広げると、各国の人為起源のN2O排出を5~20%削減できる可能性があり、他の有機廃棄物も含めると効果はそれ以上になることが分かった。これにより、現時点では他に緩和策のないN2O排出削減へのコスト効率の高い道が開かれる。

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