Perspective
気候科学:熱帯太平洋温暖化パターンの支配要因は変化する可能性がある
Nature 630, 8016 doi: 10.1038/s41586-024-07452-7
熱帯太平洋における海面水温(SST)パターンの変化は、温室効果ガス強制に対する放射フィードバック、地球温暖化の進行速度、地域的な気候変化を調節している。従って、将来の気候変動予測をする上で不確定さを減少させるために、SSTパターンを駆動する要因を明らかにすることは極めて重要である。しかしながら、ここ数十年にわたり観測された、ウォーカー循環の強化と連動した東西SST勾配の増大という変化の原因はいまだに論争となっている。本論文で我々は、外的強制力の役割に焦点を合わせ、既存のメカニズムを全球および半球のエネルギー収支に基づく制約などのエネルギー的視点か、大気–海洋結合過程を調べる力学的視点に分類し、外部強制に対する応答を概観する。その上で我々は、それらの過去および将来のSSTパターン変化に対する集合的および相対的な寄与について論じ、それらを調和させるナラティブを提案する。決定的な証拠はまだ存在しないが、我々の評価は、東西SST勾配に関して、過去には強化するメカニズムが支配的であったが、将来には弱化するメカニズムが支配的となる方向に変化することを示唆している。さらに我々は、最近のSSTパターン変化傾向に関する気候モデルと観測の不一致をどう解消するかについても議論する。

