構造生物学:ヒトでのコリンおよびエタノールアミン輸送の分子機構
Nature 630, 8016 doi: 10.1038/s41586-024-07444-7
ヒトのFLVCR1(feline leukaemia virus subgroup C receptor-related protein 1)とFLVCR2は、MFS(major facilitator superfamily)のメンバーである。これらの機能不全は、PCARP(posterior column ataxia with retinitis pigmentosa)、HSAN(遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー)、ファウラー症候群といったいくつかの臨床疾患に結び付けられている。これまでの研究で、FLVCR1はヘム排出輸送体として機能すると考えられている。一方、FLVCR2はヘム取り込み輸送体として働くことが示唆されているが、これら2つの輸送体の機能について、分子レベルでの決定的で詳細な生化学的証拠は得られていない。今回我々は、FLVCR1とFLVCR2が、濃度を駆動力とする基質移行過程によって細胞膜を通過するコリンおよびエタノールアミンの輸送を促進することを明らかにする。構造解析と計算解析によって、FLVCR類の複数の異なるコンホメーション状態が確認され、それらと基質との相互作用の基盤となっている配位化学的性質が明らかになった。完全に保存されてきたトリプトファン残基とチロシン残基が、2つの輸送体の両方で結合ポケットを形成し、カチオン–π相互作用を介して輸送体にコリンとエタノールアミンに対する選択性を付与する。これらの知見によって、FLVCR1とFLVCR2によるコリンおよびエタノールアミン輸送の機構が明らかになり、これらの重要な過程を阻害する疾患関連変異に関する理解が深まり、これらのMFSタンパク質の輸送サイクルにおけるコンホメーション動態が明らかになった。

