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幹細胞:ヒト慢性肝疾患における上皮可塑性の獲得
Nature 630, 8015 doi: 10.1038/s41586-024-07465-2
多くの成人器官における慢性疾患時の組織再生は、議論の分かれるテーマの1つとなっている。再生過程は動物モデルで容易に観察でき、その根底にある機構の解明は進んできているが、これらの結果をヒトで検証することは、技術的課題と倫理的側面により制限されている。我々は肝臓でこうした難題に取り組むことにした。肝臓は急性損傷後に並外れた再生能力を示すが、損傷が繰り返し起きている状況での肝臓再生については、まだ完全には分かっていない。本研究で我々は、さまざまな段階の代謝機能不全関連脂肪性肝疾患患者から採取した47の肝生検で単一核RNA塩基配列解読(snRNA-seq)を行い、疾患進行中の肝臓の細胞マップを作製した。我々は次に、これらの単一細胞レベルのデータと高度な3D画像化を組み合わせ、肝臓構造の重大な変化を明らかにした。肝細胞ではゾーネーションが失われ、胆管系のかなりの再編成が起きていた。さらに重要なことに、今回の研究から、成体幹細胞が存在してなくても、また、発生前駆細胞が活性化されなくても、肝細胞と胆管細胞の間で分化転換事象が起こることが分かった。胆管細胞オルガノイドを用いた詳細な解析と機能検証により、この過程ではPI3K–AKT–mTOR経路が重要であることが確認され、これにより、この可塑性の獲得とインスリンシグナル伝達が結び付けられた。まとめると我々のデータは、慢性損傷がヒトの器官で細胞の可塑性を誘導する環境を作り出すことを示しており、この過程の根底にある機構を理解すれば、慢性疾患の管理における新たな治療法への道が開かれるだろう。

