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神経科学:フェンタニルの正負の増強作用をそれぞれ駆動するμオピオイド受容体群

Nature 630, 8015 doi: 10.1038/s41586-024-07440-x

フェンタニルは強力な鎮痛剤で、多幸感や正の増強作用を生み出す。また、フェンタニルは有害な離脱症候群を特徴とする依存性も引き起こし、これによって負の増強作用(離脱症状を避けるための薬物の再摂取)が促進される。こうした正負の増強作用がオピオイド消費を持続させ、使用者の4分の1に嗜癖をもたらし、この割合は全ての嗜癖性薬物の中で最も高い。オピオイド受容体の中では、μオピオイド受容体が重要な役割を持つが、最終的に嗜癖につながる回路適応を導く部位は分かっていない。今回我々は、マウスにフェンタニルを注射して、腹側被蓋野(VTA)のγ-アミノ酪酸発現ニューロンを急性抑制した。これにより、ドーパミンニューロンの脱抑制が起き、それがやがて側坐核内のドーパミン量を増加させた。VTAのμオピオイド受容体をノックダウンすると、ドーパミンの一過的増加と正の増強作用は消失したが、離脱症状は変わらなかった。扁桃体中心核(CeA)でμオピオイド受容体を発現するニューロンが、離脱中に活動を増すことが分かった。CeA中のμオピオイド受容体をノックダウンすると有害症状が消失することから、これが負の増強作用を媒介していることが示唆される。従って、光遺伝学的刺激は場所忌避を引き起こし、マウスは、μオピオイド受容体を発現するCeAニューロンの光遺伝学刺激を停止するレバーを押すことを容易に学習した。今回の研究は、VTAとCeAで正と負の増強効果をそれぞれ誘発するニューロン群を明らかにしたもので、これにより、フェンタニルの嗜癖を緩和し、リハビリテーションを促すための介入法を開発する上で必要な神経回路構造が説明された。

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