健康科学:ヒト肝再生の多モード解読
Nature 630, 8015 doi: 10.1038/s41586-024-07376-2
肝臓には固有の再生能力がある。しかし、急性肝不全(ALF)の状況では、この再生能力は打ち負かされることが多く、緊急肝移植が唯一の治療選択肢となる。今回我々は、ヒトの肝再生をよりよく理解するために、ヒトの健康な肝臓とALFの肝臓の外植片について、対になった単一核RNA塩基配列解読と空間プロファイリングを組み合わせて用い、ヒト肝再生の単一細胞レベルでの全細胞系譜アトラスを作製した。その結果、ヒト肝再生中に出現する新規のANXA2+遊走性肝細胞亜集団が見つかり、アセトアミノフェン(APAP)誘導性肝再生のマウスモデルで、必然的なこの遊走性肝細胞亜集団の存在が明らかにされた。マウスにおけるAPAP誘導性肝損傷後の複数の時点で壊死性創傷の閉鎖と肝細胞の増殖について調べたところ、創傷の閉鎖が肝細胞の増殖よりも先に起こることが示された。マウスAPAP誘導性肝損傷の四次元生体内画像化により、壊死領域の端で遊走性肝細胞が見つかり、これらは肝細胞シートとしての集団移動を可能にし、創傷の閉鎖に影響を及ぼすことが分かった。肝細胞のANXA2を除去すると、in vitroでのヒトおよびマウスの肝細胞では肝細胞増殖因子誘導性の移動が減少し、マウスAPAP誘導性肝損傷後の壊死性創傷の閉鎖が起こらなくなる。これらを総合すると、我々の研究は、肝再生の予期せぬ側面を明らかにしており、これにより、創傷の閉鎖と肝細胞の増殖が共役していないことが実証され、肝損傷後の創傷の閉鎖を仲介する新しい遊走性肝細胞亜集団が明らかになった。肝臓の正常な微細構造の迅速な再構築と腸–肝バリアの回復を促進するように設計した治療法は、再生医療における治療的発見の新たな領域を前進させる可能性がある。

