Article

計算論的神経科学:モデルのユニットを視覚ニューロンにマッピングして判明した社会行動の集団符号

Nature 629, 8014 doi: 10.1038/s41586-024-07451-8

動物で観察される多様性豊かな行動は、感覚処理と運動制御の相互作用を通じて生み出される。こうした感覚運動変換を理解するには、感覚入力に対する神経応答だけでなく、各ニューロンが行動に因果的にどのように関与しているかまで予測できるモデルを構築することが有用である。本論文で我々は、十数種以上の神経細胞タイプに体系的な摂動を与えて生じる行動の変化を予測し、深層ニューラルネットワークモデルの内部ユニットと実際のニューロンの間に1対1のマッピング対応を付ける、新規のモデル化手法を実証する。今回導入した重要な成分は「ノックアウト訓練」で、これは、訓練中にネットワークに摂動を与えて、行動実験中に実際のニューロンに生じた摂動に対応付けるものである。我々はこの手法を用いて、雄のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で、視覚誘導性の複雑な社会行動を行う際の感覚運動変換をモデル化した。ショウジョウバエの視葉–中枢脳間のインターフェースである視覚投射ニューロンは、異なるチャネルからなる集団を形成しており、先行研究では、各チャネルが特定の行動を駆動する特定の視覚特徴を符号化していることが示されている。これに対し我々のモデルからは、視覚投射ニューロン群(社会行動以外の行動に関わるものも含む)の組み合わせが雄の雌との相互作用を駆動し、それによって多様な行動の集団符号が形成されるという、別の結論が導かれた。まとめると今回の枠組みは、さまざまな神経系摂動から生じる行動効果を1つの統合モデルに一元化し、刺激から神経細胞タイプを経て行動に至るまでのマップを提示するとともに、今後、今回のモデルに脳の配線図を組み込むのを可能にするものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度