植物科学:花粉発芽におけるCa2+スパイクの浸透圧センサーを介した制御
Nature 629, 8014 doi: 10.1038/s41586-024-07445-6
高等植物は陸上での水の不足や変動を生き延びるために、細胞活動を停止させたり(脱水)、過程を復活させたり(再吸水)する。しかし、植物が再吸水の際に水の利用可能性を監視する仕組みは分かっていない。低浸透圧によって誘導される細胞質ゾルCa2+濃度(HOSCA)の上昇が、再吸水における低浸透圧感知機構であると長い間仮定されてきたが、その分子基盤は解明されていない。浸透圧は膜張力を引き起こすこと、また、浸透圧感知チャネルの浸透圧感知特異性はin vivoでしか決定できないことから、これらのチャネルは機械刺激受容体のサブタイプに分類されている。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)で真正の細胞表面低浸透圧センサーを特定し、花粉のCa2+スパイクが、これらの低浸透圧センサーを介して水によって直接制御されること、つまり、Ca2+スパイクが水分状態のセカンドメッセンジャーであることを見いだした。次に我々は、大腸菌( Escherichia coli)で低浸透圧感受性チャネルの機能的発現スクリーニング法を開発し、高浸透圧依存性カルシウム透過性チャネル(OSCA)ファミリータンパク質のメンバーであるOSCA2.1を特定した。単一および多重のOSCA変異体をスクリーニングしたところ、osca2.1/osca2.2ダブルノックアウト変異体では花粉の発芽とHOSCAが障害されることが観察された。OSCA2.1とOSCA2.2は、植物体やHEK293細胞で低浸透圧感受性Ca2+透過性チャネルとして機能する。培地の浸透圧を低下させると、花粉のCa2+振動が増強され、これはOSCA2.1とOSCA2.2によって仲介されていて、発芽に必要であった。OSCA2.1とOSCA2.2は、花粉において細胞外の水分状態をCa2+スパイクに変換しており、また、植物の再吸水の状態を追跡するための不可欠な低浸透圧センサーである可能性がある。

