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生化学:ヒトのチロシンキノームに固有の基質特異性

Nature 629, 8014 doi: 10.1038/s41586-024-07407-y

タンパク質のチロシン(Tyr)残基のリン酸化は、後生動物で組織の増殖を協調させる機構として進化してきた。多細胞真核生物は50種類を超えるプロテインTyrキナーゼを持つのが一般的で、これらのキナーゼが触媒してプロテオーム全体では数千のTyr残基がリン酸化される。しかし、Tyrキナーゼが特定のタンパク質サブセットの特定のTyr部位をリン酸化することができる仕組みは部分的にしか解明されていない。今回我々は、コンビナトリアルペプチドアレイを用いて、全てのヒトTyrキナーゼの基質配列特異性のプロファイリングを行った。全体として、Tyrキナーゼはリン酸化部位周辺の最適な残基パターンについてかなりの多様性を示し、ヒトTyrキノームには基質モチーフの選好性による機能的秩序が存在することが明らかになった。この情報を用いて、どのようなTyr部位のリン酸化についても最も高い互換性を示すTyrキナーゼ群が見つかった。キナーゼのこのような特異性の一覧表を用いて質量分析によるリン酸化プロテオミクスデータセットを分析したところ、増殖因子による標品刺激後や抗がん剤による治療後、また発がん性変異体の発現後に細胞内で調節不全になった特異的Tyrキナーゼが的確に突き止められた。さらに、TyrキナーゼとSH2リン酸化チロシン(pTyr)結合ドメインの配列特異性の比較から、既知のTyrシグナル伝達ネットワークのトポロジーが予想通りに見えてきた。また、Tyrキナーゼに固有の基質特異性が線虫からヒトまで基本的にほとんど変化していないことが明らかになり、Tyrキナーゼとそのタンパク質基質の配列の組み合わせが何億年にもわたる進化の過程を通じて維持されてきたことが示唆された。

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