Article

微生物学:リガンドの栄養共生によって、細菌のビタミンB12栄養要求性が解消する

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07396-y

コバラミン(ビタミンB12、以降はB12と呼ぶ)は、多くの海洋原核生物、海洋真核生物に不可欠な補因子である。合成する原核生物の数が限られているため、B12の欠乏は微生物の相互作用や微生物群の動態に影響する。今回我々は、2つの細菌B12栄養要求株が、異なったB12構成単位を使用し、協同してB12を合成できることを明らかにする。Colwellia属のある菌種が、活性型下部リガンドα-リバゾールを合成して放出すると、別のB12栄養要求株であるRoseovarius属の菌種がこれを使ってコリン環を作り、B12を合成する。Roseovarius菌種によるB12の放出は、Colwellia菌種と共培養した場合にだけ起こり、Roseovarius菌種がコードするプロファージの誘発と同時にしか起こらない。このような条件下で起こるその後のColwellia菌種の増殖は、Roseovarius菌種の溶菌した細胞がB12を提供することによるのかもしれない。プロファージの誘導がB12の放出を引き起こす役割を果たしていることを裏付けるには、さらなる証拠が必要である。リガンド栄養共生と協同でのB12生合成というこのような複雑な微生物相互作用は、海洋の漂泳生態系には広く見られるようだ。熱帯大西洋の西部および北部では、コビナミドをサルベージして活性型下部リガンドのみを合成できると推定される細菌が、B12生産菌よりも数の上では優勢である。これらの知見によって、海洋生態系では、そしておそらく他の生態系でも、栄養要求微生物へのB12の供給に関して、これまで知られていた以外の新たな担い手が加わったことになる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度