Article

幹細胞:気道小丘は独特な可塑性を持つ幹細胞の損傷抵抗性リザーバーである

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07377-1

気道の小丘(hillock)は上皮の重層構造で、その機能は分かっていない。小丘は数カ月間存続し、バリア機能と細胞接着に関連する遺伝子を発現する独特な基底幹細胞集団を持つ。小丘の基底幹細胞は、その上層の扁平上皮バリア細胞を絶えず補充している。これらの細胞は、豊富に存在しているが大部分は静止状態の古典的な気道偽重層上皮よりも劇的に高いターンオーバーを示す。小丘の扁平上皮細胞は、その下層の小丘基底幹細胞を損傷から保護するため、小丘は毒素、感染、酸、物理的損傷など、非常に広範囲の損傷に抵抗性である。小丘の基底幹細胞は、露出した気道表面を再形成するのに十分な大規模クローン増殖が可能であり、最終的には気道上皮を構成する6タイプの細胞を全て持つ正常な気道上皮を再生する。小丘基底幹細胞は、扁平上皮化生の原因として知られるレチノイン酸シグナル伝達阻害の状況で、優先的に重層化および角化する。今回我々は、マウス気道小丘の増殖が、ビタミンA欠乏によって誘導される扁平上皮化生の原因であることを示す。さらに我々は、ヒト気道小丘の基底幹細胞は培養において機能的な扁平上皮バリア構造を作り出すことを突き止めた。小丘の存在により、気道上皮再生についての我々の理解が見直された。また我々は、気道小丘が、肺がんの前駆状態と長い間考えられてきた「扁平上皮化生」の起源の1つであることも示す。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度