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免疫学:門脈近傍のマクロファージが共生微生物による肝臓炎症を防ぐ

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07372-6

肝臓は腸からの主な入り口であり、門脈から中心静脈への一方向性の類洞血流は、門脈近傍(PV)域や中心静脈近傍域など、不均一な領域を構成する。しかし、各領域の免疫系機能の差異はほとんど明らかになっていない。今回我々は、生体内画像化により、炎症反応がPV域で抑制されていることを明らかにする。領域特異的な単一細胞トランスクリプトミクスから、PV域に豊富に存在する免疫抑制性マクロファージのサブセットが検出された。このサブセットは、インターロイキン10とMarco(炎症性の病原体関連分子パターンやダメージ関連分子パターンを隔離するスカベンジャー受容体)を高レベルで発現することで、結果として免疫応答を抑制していた。Marco+免疫抑制性マクロファージの誘導は、腸の微生物相に依存していた。特に、細菌の特定の科であるOdoribacteraceaeは、そのポストバイオティクな産物であるイソアロリトコール酸を介してこのマクロファージサブセットを誘導することが明らかになった。腸バリアの透過性亢進によりPV域に炎症が引き起こされるが、この炎症はMacro欠損の状況で著しく増強された。原発性硬化性胆管炎(PSC)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)など、肝臓の慢性炎症性疾患では、Marco+マクロファージ数の減少が見られた。動物実験モデルでは、Marco+マクロファージ機能の消失により、大腸炎に関連してPSC様炎症表現型が生じ、また、NASHにおいて脂肪蓄積が増悪した。まとめると、共生細菌はMarco+免疫抑制性マクロファージを誘導し、その結果、肝臓の入り口での過剰な炎症が制限される。この自己制限システムの機能不全は、PSCやNASHなどの肝臓の炎症性疾患につながる。

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