ナノフォトニクス:大量生産向けのタンタル酸リチウムフォトニック集積回路
Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07369-1
ニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いた電気光学フォトニック集積回路(PIC)によって、高いポッケルス係数を持つ材料の大きな可能性が実証されている。こうした回路により、相補型金属–酸化物–半導体の電圧レベルで動作する線形変調器や高速変調器を、データセンター通信、高性能コンピューティング、AI用フォトニックアクセラレーターなどの用途に使用することが可能になっている。しかしこの技術の産業使用は、ウエハー当たりのコストが高く、ウエハーサイズも制限されていることによって妨げられている。高コストの原因は、マイクロエレクトロニクスにおける莫大な投資に後押しされてシリコン・オン・インシュレーター(SOI)フォトニクスの採用を加速したような、他領域において大量使用される既存の用途が見当たらないことである。今回我々は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)を使った低損失PICを報告する。この材料は、既に5G高周波フィルターに商業的に採用されていて低コストでスケーラブルな製造が可能であり、LiNbO3と同等か、場合によってはより優れた特性を持つ。我々は、深紫外(DUV)ステッパーをベースにした製造プロセスを用いて、LiTaO3をエッチングして低損失(5.6 dB m−1)PICを作製できることを示す。そして、半波電圧–長さ積が1.9 V cmで、電気光学帯域幅が最大40 GHzのLiTaO3マッハ・ツェンダー変調器(MZM)を実証する。LiNbO3と比較して、LiTaO3は、ずっと低い複屈折を示すことから、高密度回路と全遠隔通信帯域にわたる広帯域動作が可能になる。さらに、このプラットフォームは、ソリトンマイクロコムの生成を支援する。今回の研究は、低コストで大量の次世代電気光学PICをスケーラブルに製造する道を開くものである。

