エネルギー科学:巨大なエネルギー貯蔵密度と出力密度を示す負性容量超格子
Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07365-5
誘電体静電キャパシターは、充放電が極めて速いため、高出力エネルギー貯蔵用途に望ましい。オンチップ集積は、超高速動作と共に、新たに登場している自律型マイクロエレクトロニクスや自律型マイクロシステム向けの小型エネルギー貯蔵デバイスを実現できる可能性がある。さらに、最先端の小型電気化学的エネルギー貯蔵システムであるマイクロスーパーキャパシターやマイクロバッテリーは現在、オンチップ技術的即応性を妨げる安全性、パッケージング、材料、微細加工の課題に直面しており、静電マイクロキャパシターに機会が残されている。今回我々は、3方面からのアプローチを通して、シリコン上に集積したHfO2–ZrO2系薄膜マイクロキャパシターにおいて、我々の知る限りでは過去最高の静電エネルギー貯蔵密度(ESD)と出力密度が得られたことを報告する。第一に、本質的なエネルギー貯蔵量を増大させるために、場駆動強誘電相転移の近傍で反強誘電体HfO2–ZrO2原子層堆積膜を設計することで、負性容量効果による電荷貯蔵量増幅が示され、体積ESDが、配線工程に適合する既知の最良の誘電体を超えて増大した(115 J cm−3)。第二に、総エネルギー貯蔵量を増大させるために、反強誘電体超格子設計によって、HfO2–ZrO2系(反)強誘電性の従来の厚さ限界(100 nm領域)を超えて、エネルギー貯蔵性能をスケーリングした。第三に、フットプリント当たりの貯蔵量を増大させるために、超格子をコンフォーマルに集積して三次元キャパシターを形成し、面積ESDを最良の静電キャパシターの9倍の80 mJ cm−2に、面積出力密度を170倍の300 kW cm−2に増大させた。この超高エネルギー密度と超高出力密度の同時実証によって、静電–電気化学エネルギー貯蔵階層における従来の容量と速度のトレードオフが克服された。さらに、配線工程に適合する工程内で超高密度薄膜と超高速充電薄膜を集積することで、オンチップ・マイクロキャパシターのモノリシック集積が可能になり、これによって、電子マイクロシステムに大きなエネルギー貯蔵と電力供給性能の可能性が開かれる。

