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エレクトロニクス:アモルファスpチャネルトランジスター向けのセレン合金化テルル酸化物

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07360-w

多結晶半導体と比較すると、アモルファス(非晶質)半導体では本質的にコスト効率が高く、単純で均一な製造が可能になる。従来のアモルファス水素化シリコン(Si)は電気的特性が不十分であり、新材料の探索を必要とする。a-InGaZnOなどの高移動度アモルファスn型金属酸化物の創成とその薄膜トランジスター(TFT)への組み込みは、現代の大面積電子デバイスや新世代ディスプレイの進歩を促してきた。しかし、同等のp型金属酸化物を見いだすことは著しい難題となっており、相補型金属–酸化物–半導体技術と集積回路の進歩が阻まれている。今回我々は、高移動度テルルをアモルファス亜酸化テルルマトリックス内に組み込んだアモルファスp型半導体の先駆的設計戦略を提示し、その安定した高性能pチャネルTFTや相補型回路への応用を実証する。理論的解析によって、浅いアクセプター状態を持つテルル5pバンドの非局在価電子帯が、過剰な正孔ドーピングと輸送を可能にすることが明らかになった。セレン合金化によって、正孔濃度が抑制され、p軌道の接続性が促進されて、高性能pチャネルTFTが実現された。このTFTデバイスは、ウエハースケールの均一性と、バイアスストレスと環境エージングの下での長期安定性を示すとともに、平均電界効果正孔移動度が約15 cm2 V−1 s−1、オンオフ電流比が106~107となっている。今回の研究は、低コストかつ工業的に適合可能な方法による商業的に実現可能なアモルファスpチャネルTFT技術と相補型エレクトロニクスの確立への、極めて重要な一歩となる。

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