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神経科学:下側頭皮質での知覚符号と記憶符号の時間的多重化

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07349-5

長期記憶は、感覚刺激を符号化するのと同じ脳領域に神経表現されている、とするのが神経科学の大前提である。下側頭(IT)皮質のニューロンは、分散された軸符号を使って視覚対象の知覚を表現している。しかし、同一のIT神経集団が視覚対象の長期記憶を表現しているのかどうか、しているならどのように表現されているのかは、まだ分かっていない。今回我々は、見慣れた顔が、IT皮質の前内側野顔パッチ(AM)、嗅周野顔パッチ(PR)、側頭極野顔パッチ(TP)で、どのように符号化されているかを検討した。その結果、AMとPRでは、見慣れた顔の符号化軸が見慣れない顔の符号化軸に対して、長い潜時をもって回転していくのが観測されたが、TPでは、このような記憶に連関した軸の回転ははるかに弱かった。従来の見解とは異なり、いずれのパッチでも、見慣れた顔と見慣れない顔の応答強度の相対比は、既知度の安定な指標にはならなかった。PRを不活性化してもAMの軸変化の動態に影響はなかったことから、記憶に連関した軸変化の基盤にある機構は、おそらくIT皮質に固有なものである可能性が高い。まとめると我々の結果は、見慣れた顔の記憶が、AMと嗅周囲皮質に別々の長潜時符号で表現されていることを示唆しており、これによって、同一の細胞集団がどのように顔の知覚と記憶の両者を符号化し得るかが説明された。

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