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植物進化学:系統ゲノミクスと被子植物の繁栄

Nature 629, 8013 doi: 10.1038/s41586-024-07324-0

被子植物は、大多数の陸上生態系と人間の暮らしの基盤となっている。被子植物が生態学的優位性を持つに至った理由を説明するには、その進化を確実に理解することが必要である。これまで、被子植物の系統樹の作成は、主として色素体ゲノムの解析によって行われてきた。分類や、被子植物が出現した中生代以降のその多様化に関する一連の最初の洞察など、多くの研究がこの基本的な成果に依拠している。しかし、タクソンもゲノムも標本の抽出が不十分で偏りがあるため、系統樹及びそれが持つ意味の信頼性が損なわれてしまっている。今回我々は、核遺伝子353個の標準化されたセットを用いて、8000属に迫る被子植物(約60%)の系統樹を作成した。これは、類似の核研究と比較して属レベルの標本抽出数が15倍に相当し、従来の研究成果に関する極めて重要な検証となるとともに、主要な分類群、特にバラ類には重大な修正を加わった一方で、これまでに予測されていた関係の多くが裏付けられた。200点の化石を用いてこの系統樹の年代を合わせたところ、被子植物の初期進化が、遺伝子系統樹の不一致の多さと、現生被子植物目の80%以上を生じた爆発的な多様化で特徴付けられることが明らかになった。多様化は、その後の中生代を通じて安定を保った後、新生代に再び加速し、これが起こったのは全球的な気温の低下と同時期であり、遺伝子系統樹の不一致と密接に関連していた。総合すると、我々の大規模な標本抽出は、先進的な系統ゲノミクスの方法と組み合わせることにより、極めて多様なクレードの進化の奥深い歴史と高度な複雑さを明らかにしている。

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