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構造生物学:脂質頭部がFLVCR1によってケネディー経路に進入する際の構造基盤
Nature 629, 8012 doi: 10.1038/s41586-024-07374-4
ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの2種類は、哺乳類細胞中で最も多量に存在するリン脂質であり、それぞれコリンとエタノールアミンからケネディー経路によってde novo合成される。これらの脂質は、重要な役割を担っているにもかかわらず、コリンとエタノールアミンの細胞内への取り込みを可能にする機構はまだ解明されていない。今回我々は、FLVCR1遺伝子がコードするタンパク質が、細胞外のコリンとエタノールアミンを細胞内に運び込み、下流のキナーゼによってリン酸化してケネディー経路を始動させることを明らかにした。FLVCR1遺伝子の変異は、神経変性症候群である脊髄後索性失調症と網膜色素変性症につながる。コリンとエタノールアミンの存在下でのFLVCR1の構造から、この2つの代謝物は共に、芳香族残基と極性残基からなる共通の結合部位に結合することが判明した。共通の部位に結合するにもかかわらず、FLVCR1はコリンの大きな第四級アミンとエタノールアミンの第一級アミンに対しては異なった様式で相互作用する。構造を手掛かりにした変異導入によって、エタノールアミンの輸送には不可欠だがコリンの輸送には重要ではない残基が明らかになり、ケネディー経路の2つの分枝路へと入る進入点を機能的に分離できた。これらの知見を総合することにより、FLVCR1が高親和性代謝物輸送体であり、ケネディー経路の2つの分枝路によるリン脂質生合成の共通の起点として機能する仕組みが明らかになった。

