生化学:RAD52–RPA複合体による一本鎖DNAアニーリングの機構
Nature 629, 8012 doi: 10.1038/s41586-024-07347-7
RAD52は、DNA二本鎖切断の修復や有糸分裂DNA合成、テロメラーゼ非依存性テロメア長維持に重要な役割を果たしている。これらの機能の要として、RAD52は相補的な一本鎖DNA(ssDNA)のアニーリングを推進し、BRCA2/RAD51に依存した相同組換え修復に代わる修復法を提供する。相同組換えができないBRCA1またはBRCA2欠失細胞でのRAD52不活性化は合成致死性であり、またRAD52の異常な発現はがんの予後不良と関連している。従って、RAD52は相同組換えができない乳がん、卵巣がん、前立腺がんに対する期待の持てる治療標的の1つとなっている。本論文で我々は、RAD52の構造を示し、アニーリングの機構の詳細を明らかにする。これまでに報告されているように、RAD52は11量体(サブユニット11個からなる)で環状構造を形成しているが、このような環はこの酵素の活性型ではない。クライオ電子顕微鏡法解析と生化学解析から、ssDNAのアニーリングを駆動するのは、RPA(replication protein A)と結合したRAD52の開いた環であることが明らかになった。RAD52–ssDNA複合体の原子モデルからは、ssDNAが環の周囲の正電荷を帯びた溝にはまることが分かった。アニーリングを駆動するのはRAD52のN末端ドメインで、C末端領域は開いた環のコンホメーションやRPAとの結合を調節する。RPAはRAD52環の開口部分に結合し、それにはRAD52のRPA結合ドメインとRPA2の翼状突起を持つヘリックスドメインとの間に生じる相互作用が重要である。この研究によって、アニーリング過程全体にわたって複数の構造が捉えられ、RAD52–RPA複合体によるssDNAのアニーリングの分子機構の詳細が明らかになった。

