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神経科学:細胞タイプごとのモザイク現象が示すヒト前脳のクローン動態
Nature 629, 8011 doi: 10.1038/s41586-024-07292-5
ヒト前脳内での、特定の細胞サブタイプの解剖学的起源や細胞系譜の関係性については、議論が決着していない。従って、成人脳を直接観察することが、脳の構造的組織化と細胞の起源を完全に理解するために重要である。今回我々は、特定の細胞タイプ内のモザイク変異をクローン動態の個別的な指標として利用し、これを細胞タイプ特異的なモザイクバリアントのバーコード解析とした。我々は、定型発達のドナー2人の4つの大脳半球から、それぞれ287と780のモザイクバリアントを特定し、これらをクローン動態の解析に用いた。脳内のクローン拡散と対立遺伝子頻度から、海馬局所の興奮性ニューロンは、新皮質固有の興奮性ニューロンや大脳基底核固有のGABA作動性抑制性ニューロンに比べて、系譜的に限定されていることが分かった。また、細胞タイプ特異的レベルと単一細胞レベルの両方で、同時ゲノムトランスクリプトーム解析を行ったところ、DLX1+抑制性ニューロンのサブグループが、背側新皮質を起源として興奮性ニューロンと共通の起源から放射状に拡散していくことが示唆された。さらに、1つの頭頂皮質内の171部位にわたるモザイクバリアントの分布から、興奮性ニューロンでも抑制性ニューロンでも、前後軸に沿ったクローン拡散の制限は、背腹軸に沿った拡散の制限に先行することが分かった。従って、細胞タイプごとの体細胞モザイク現象の状況から、ヒト前脳の発生を支配する細胞系譜関係を明らかにすることができる。

