惑星科学:金星の水の消失の主な要因はHCO+の解離性再結合である
Nature 629, 8011 doi: 10.1038/s41586-024-07261-y
金星は、サイズと起源物質が地球と類似しているにもかかわらず、極端に乾燥しており、これは、水蒸気が支配的だった太古の大気から宇宙空間への水素流出によって、水がほぼ完全に消失したことを示している。そうした流体力学的な散逸はおそらく、初期に存在した地球と同様の全球平均水深(GEL)3 kmの水を除去したが、GEL約10~100 m以下ではそうした散逸が停止するため、観測されている3 cmのGELまで大気中の水を枯渇させることはできない。金星の水の消失を完了させ、金星大気の大部分で観測されている重水素の地球の約120倍への濃縮を生み出すには、現在も作用している非熱的な水素の散逸機構が必要である。初期の研究によって、そうした機構は共鳴電荷交換、高温酸素の衝突、イオン流出がであると特定され、水素の散逸に関するコンセンサスが確立されており、その後は最小限の更新しか受けていない。本論文で我々は、このコンセンサスには、最も重要な現在の水素消失過程であるHCO+の解離性再結合が含まれていないことを示す。この過程によって、金星の水素散逸速度が約2倍になり、その結果、定常的な大気中の水の存在度を保つのに必要な現在の火山からの水蒸気放出や衝突天体の落下の寄与が2倍になる。この高い消失率によって、測定された金星の水の存在度と同位体比を同時に説明する際の長年にわたる課題が解決され、推測されている後期海洋シナリオを受けて、より早期の乾燥化が可能になると思われる。過去の金星探査では、設計上の制限から、HCO+とその再結合によって生成される散逸水素の両方を測定することはできなかったが、将来の探査機による測定は不可欠である。

