神経科学:大脳皮質アストロサイトにおける局所的神経伝達物質のネットワークレベルでの符号化
Nature 629, 8010 doi: 10.1038/s41586-024-07311-5
アストロサイトは、哺乳類の脳内に最も多く存在する非ニューロン細胞タイプであり、Ca2+シグナル伝達を介して神経活動に応答し、これを調節する重要な回路構成要素である。アストロサイトのCa2+活動は非常に不均一であり、細胞内での速やかな活動から、接続されたアストロサイトネットワーク全体での同期した遅い活動まで、複数の時空間的な規模にわたって生じ、さまざまな過程に影響を及ぼす。しかし、アストロサイトネットワーク動態を駆動する入力については明らかにされていない。今回我々は、複数の時空間規模でニューロンの神経伝達物質入力を模倣している間に、ex vivoとin vivoでのアストロサイトの二光子画像化を用いた。その結果、GABAとグルタミン酸の短時間の細胞内入力が、刺激された個々の細胞以外でも、アストロサイトの広範で持続的なCa2+応答を引き起こすことが明らかになった。さらに、Ca2+活動の主要なサブセットである伝播性活動は、アストロサイトネットワークのこれらの2つの主要神経伝達物質に対する反応を差別化して、将来の入力に対する応答に影響を及ぼす可能性があることが分かった。まとめると我々の結果は、神経伝達物質の局所的で一過的な入力が、数分単位の時間経過で皮質アストロサイトの広いネットワークにより符号化されることを実証しており、これによって、実質的なアストロサイト–ニューロン間コミュニケーションが遅いネットワークレベルの時空間スケールで起こることを示すさらなる証拠が得られた。これらの知見によって、今後の研究で、特定のアストロサイトCa2+活動と特定の機能的出力との結び付きを調べることが可能になり、アストロサイトによる神経活動の調節についての一貫性のある考え方の枠組みを構築できる可能性がある。

