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進化学:有袋類の飛膜の発生と進化の根底にあるEmx2

Nature 629, 8010 doi: 10.1038/s41586-024-07305-3

種間に見られる表現型の差異は、発生プログラムに生じた進化的変化の産物である。しかし、こうした変化が新たな形態形質をどのように生み出すかは、いまだほとんど明らかにされていない。今回我々は、哺乳類の複数の系統(互いに近縁な有袋類種を含む)で繰り返し進化した適応形質である飛膜について、ゲノムと発生の基盤を調べた。滑空種と非滑空種の両方を含む15例の有袋類ゲノムを用いて比較ゲノム解析を行った結果、滑空種はEmx2座位がシス調節の進化の加速という系統特異的なパターンを経験していることが明らかになった。エピゲノミクス、トランスクリプトミクス、有袋類の育児嚢内遺伝子導入を組み合わせることにより、Emx2が飛膜発生に極めて重要な上流の調節因子であることが示された。また、滑空種でのEmx2発現レベルの上昇の駆動要因である可能性のある、さまざまなシス調節エレメントも見いだされた。さらに、マウスでの機能実験を用いることで、滑空種のEmx2発現パターンが、全ての哺乳類に見られる既存のプログラムを改変したものである可能性を示す証拠が得られた。総合すると我々の結果は、飛膜がゲノムの収斂進化の過程で繰り返し出現し、その際、Emx2の調節は別々に進化した種においてそれぞれ独特なシス調節エレメントによって改変されたことを示唆している。このように、カギとなる同一の発生遺伝子の異なる調節エレメントによる標的化は、自然選択が、有袋類ゲノムで調節の進化を利用して新たな表現型を生み出すのに用いた効果的な戦略である可能性がある。

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