微生物学:ストレプトミセス属細菌は競合種の菌糸成長を阻害する
Nature 629, 8010 doi: 10.1038/s41586-024-07298-z
ストレプトミセス属(Streptomyces)は遍在性の土壌細菌であり、臨床的に使われている大部分の抗生物質はこの属の細菌に由来する。これらの抗菌分子の産生は、ストレプトミセス属細菌が、別のストレプトミセス属の種をはじめとする他の細菌との過酷な競合に関わっていることを反映している。本論文で我々は、ストレプトミセス属細菌が、小分子抗生物質に加えて、縮重リピート(degenerate repeat)を有する多型性の大きな毒素タンパク質の特性を示す抗菌タンパク質複合体を産生・分泌することを示す。これらの粒子のクライオ電子顕微鏡構造から、長い柄の頭頂部に毒素リピートからなる環状の冠があり、それを足場にして、レクチンが先端に付いた5本のスポークが傘状に伸びていることが明らかになり、我々はこれらを傘状粒子(umbrella particle)と命名した。Streptomyces coelicolorは、毒素とレクチンの異なる組み合わせを持つ3種類の傘状粒子をコードする。特に、これらの毒素を含む上清は、スクリーニングを行った多様な細菌コレクションの中で、ストレプトミセス属の特定の種の成長を特異的かつ強力に阻害する。標的の1例として、S. griseusの場合、阻害は単一の毒素によるもので、その毒性は栄養菌糸の成長の急速な停止として現れる。我々の結果は、ストレプトミセス属細菌の傘状粒子は近縁種との栄養菌糸体間の競合を介在しており、これは、生殖成長の始まりに産生されて広く作用する小分子抗生物質とは機能が異なることを示している。塩基配列解読解析により、アクチノバクテリア門の1000種近くで傘状粒子に関する座位が見つかったことから、この傘状粒子の役割はストレプトミセス属以外にも広く存在することを示唆している。

