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生態学:全球の山岳地域における気候速度と種の追従

Nature 629, 8010 doi: 10.1038/s41586-024-07264-9

山脈は高い密度で固有種を抱えており、人為起源の気候変動に直面している低地種にとっては欠かすことのできないレフュジア(避難地)である。生物多様性の再分布の予測は、生物種が、気候の温暖化に伴って移動する等温線に追従できるかどうかの評価に懸かっている。しかし、高度勾配に沿った等温線の移動の速度に関する全球分析は、山岳地域における気象観測所の不足によって妨げられている。今回我々は、山岳地域の気温の逓減率(LRT)に関して、人工衛星データを用いたもの(SLRT)と、水蒸気を考慮した熱力学の法則を用いたもの(すなわち、湿潤断熱減率〔MALRT〕)の両方を全球的にマッピングすることで、この問題に取り組んだ。1971~2020年の地表の温暖化速度をSLRTまたはMALRTのいずれかで除することにより、等温線の鉛直移動速度の地図が得られた。その結果、17の山岳地域で、極端に高い等温線の鉛直移動速度(SLRTでは年間11.67 m超、MALRTでは同8.25 m超)が見いだされた。これらの地域は主に乾燥地域であったが、例えば、スマトラ島北部、ブラジル高地、アフリカ南部など、逓減率が小さい湿潤地域にも存在した。これらの速度を種の分布域の移動速度と結び付けることにより、気候速度のより低い山地での生物種の密接な追従の事例が明らかになった。一方、多くの種は追従できずに取り残されており、これは、気候変動の軌道をより抑制されたものにできたとしても、分布域の移動の動態は持続するであろうことを示唆している。我々の知見は、全球の保全戦略を考案する上でカギとなるものであり、今回特定された17の山岳地域においては特に重要である。

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