Article
太陽電池:超ワイドバンドギャップ・ペロブスカイトにおいてシアン酸イオンを用いた三重接合太陽電池
Nature 628, 8007 doi: 10.1038/s41586-024-07226-1
ペロブスカイトは、品質を損なわずにバンドギャップを調整できるため、太陽光吸収体の中で他に類を見ないものとなっており、タンデム太陽電池への有望な道が開かれている。しかし、三重接合タンデム太陽電池向けにバンドギャップを1.90 eV以上に増大させた場合、電圧損失を最小にすることは困難である。今回我々は、これまで知られていなかった擬ハロゲン化物イオンであるシアン酸イオン(OCN−)を提示する。このイオンは臭化物イオンの代替として、臭化物イオンの有効イオン半径(1.95 Å)と同等の有効イオン半径(1.97 Å)を持つ。電子顕微鏡とX線散乱によって、OCNがペロブスカイト格子に組み込まれることが確認された。これが、90.5°から96.6°までの大きな格子ひずみ、均一なヨウ化物イオン–臭化物イオン分布、一貫した微小ひずみの一因になっている。こうした効果によって、OCNベースのペロブスカイトは、欠陥形成エネルギーの増大と非輻射再結合の大幅な減少を示す。我々は、1.422 Vの開回路電圧(VOC)、ショックレー・クワイサー限界の80%を超えるVOC × FF(曲線因子)積、最大電力点追従制御下での安定な性能を示す、逆型ペロブスカイト(1.93 eV)単接合デバイスを実現し、最終的に効率27.62%(認証効率27.10%)を示す開口面積1 cm2のペロブスカイト–ペロブスカイト–シリコン三重接合太陽電池の作製に至った。

