Article

考古学:トバの超巨大噴火の際のアフリカの角における適応的な採食行動

Nature 628, 8007 doi: 10.1038/s41586-024-07208-3

現生人類は10万年前までに何度もアフリカを出ていたが、非アフリカ系の人々の大まかな祖先となる現生人類が分散したのは10万年前以降である。ほとんどのモデルでは、これらの事象は、乾期は集団の移動が制限されるため、湿潤な期間に作られた緑の回廊を通って起こったと考えられている。今回我々は、エチオピア北西部の低地にあるシンファ・メテマ1遺跡について報告する。この遺跡からは、年代が約7万4000年前と推定されている新期トバ凝灰岩(Youngest Toba Tuff:YTT)のクリプトテフラが発見されており、弓矢を使っていた可能性が高い、川沿いに集中した狩猟採集の初期のまれな証拠が提供されている。食餌にはさまざまな陸生動物および水生動物が含まれていた。哺乳類の歯やダチョウの卵殻の化石の安定酸素同位体から、この場所には、季節的に乾燥度の高い時期にそうした動物が生息していたことが示された。魚の並外れた豊富さから、長い乾季の間に季節性河川が水たまりとなってどんどん小さく浅くなっていき、そこで魚の捕獲が行われたことが示唆され、中石器時代の困難な気候条件に柔軟に適応していたことが分かる。乾季の水たまり沿いに適応的な採食を行うことで、季節性河川が「青い道(blue highway)」回廊に変わって、出アフリカ分散が促進された可能性があり、この事象が湿潤気候の時期に限定されていなかったことが示唆される。全般的に季節的な乾燥条件を生き抜くために必要だった行動の柔軟性や、特にトバの超巨大噴火の明らかな短期的影響は、おそらく現生人類の最新の分散とその後の世界的拡大に重要であったのだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度