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水文学:未観測流域における極端な洪水の全球の予測
Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07145-1
洪水は、最も一般的な自然災害の1つであり、密な河川流量観測網がないことが多い発展途上国に過度の影響を及ぼす。洪水リスクを軽減するには正確で時宜を得た警報が極めて重要であるが、一般的にはそれぞれの流域の長期的なデータ記録に合わせて水文学シミュレーションモデルを較正する必要がある。今回我々は、人工知能に基づく予測が、未観測流域における極端な河川事象の予測において、現行の最先端の全球モデル化システム(コペルニクス危機管理サービス・全球洪水警報システム)のナウキャスト(先行時間ゼロ日)と同程度かより優れた信頼度を最大5日の先行時間で達成したことを示す。さらに我々は、再来周期が5年の事象について、再来周期が1年の事象に関する現在の精度と同程度か上回る精度を達成した。これは、人工知能によって、未観測流域におけるより大規模で影響の大きい事象に対して、洪水警報をより早く出し得ることを示している。今回開発したモデルは、公的に入手可能な(無料で公開されている)予測が実時間で得られる、80カ国以上で運用されている早期警報システムに組み込まれた。今回の成果は、信頼できる洪水警報の全球的な利用を継続的に改善するには、水文学的データの利用可能性を高める必要があることを浮き彫りにしている。

