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微生物学:菌糸特異的毒素カンジダリシンは菌類の腸への片利共生を促進する

Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07142-4

カンジダ属の菌類Candida albicansはヒトの消化管への定着がよく見られ、消化管から播種して全身性疾患を引き起こし得る。この多様な形態を持つ種は、環境に適応するために、単細胞型の酵母としての増殖と多細胞型の菌糸としての増殖の間を移行することができる。C. albicansの片利共生についての現在の定説は、酵母形が腸への定着に最適であるのに対し、菌糸細胞は定着には有害だが、毒力には重要であるというものである。今回我々は、このような考え方は、複数の界からなる群集には当てはまらないことを明らかにする。こうした群集では、菌類の形態と細菌の間の複雑な相互作用によってC. albicansの適応度が決定される。従って、腸内細菌が存在しない、あるいは抗生物質によって除去された場合、酵母形に固定された細胞は野生型細胞に競り勝つが、細菌集団が豊富な宿主では、菌糸を形成する能力を持つ野生型細胞が酵母形に固定された細胞に競り勝つ。野生型細胞のこのような適応度の上昇には、定着の確立を促進する毒素カンジダリシンなど、菌糸特異的因子の産生が関与する。その後の時点では、適応免疫が働き、腸の免疫グロブリンAによって菌糸細胞が選択的に除去される。そのため、菌糸形態型は、腸では正と負の両方の選択圧を受ける。我々の研究からはさらに、カンジダリシンが、細菌の代謝出力を制限するなど、細菌種に直接抑制的な影響を及ぼすことが示された。従って我々は、C. albicansが、腸ニッチにおいて、細菌種との競合に打ち勝つために、カンジダリシンなどの菌糸特異的因子を進化させたと提案する。

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