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進化学:マルハナバチは複雑過ぎて単独では新たに獲得できない行動を社会的に学習する

Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07126-4

文化とは、社会的に学習され集団内で経時的に維持される行動を指す。動物の文化にも、ヒトの文化のように累積的で、過去の新機軸に立脚する連続的な新機軸を特徴とするものがあることを示唆する証拠が増えている。しかし、ヒトの累積的な文化に関わる行動はあまりに複雑で、それらはいかなる個体でも一生の間に単独で発見できる能力を超えている。我々の知る限り、これまでこの現象を無脊椎動物で実証した研究はない。今回我々は、マルハナバチが、単独では新規の2段階問題箱を開けて報酬の餌を得られなくても、訓練を受けた実演個体からの学習によって箱を開け、餌を得られることを示す。実演個体の訓練では、報酬のない1段階目の課題の遂行には、この動作に結び付けた一時的な報酬を与える必要があったが、この報酬はその後の訓練で取り除かれた。これに対し、未訓練の観察個体の3分の1は、1段階目の課題の後で報酬を全く与えなくても、実演個体から学習して2段階問題箱を開けることができた。これは、社会的学習が、複雑過ぎて各個体の学習では「再獲得」できない行動の習得を許容している可能性を示唆している。さらに、未訓練の個体は、最長24日間という長期にわたって問題箱と向き合っても、それを開けることはできなかった。今回の知見は、個体の試行錯誤では新たに獲得することのできない行動を社会的に学習する能力はヒトに特有のものであるという、この分野の通説に異を唱えるものである。

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