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流体力学:乱流カスケードによるパターン形成
Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07074-z
完全に発達した乱流は、大きいスケールから小さいスケールへのエネルギーカスケードを特徴とする普遍的でスケール不変のカオス状態であり、最終的にカスケードは小さいスケールで散逸によって停止する。今回我々は、一見すると構造のない乱流カスケードを利用してパターンを生成する方法を示す。パターン形成は波長選択の過程を伴い、通常この過程は、均一状態の線形不安定性を端緒とする。対照的に、今回我々が提案する機構は完全に非線形である。この機構は、非散逸的に乱流カスケードが止まることによって誘発され、系のサイズでも、通常はエネルギーが散逸する最小スケールでもない中間スケールで、エネルギーが蓄積される。我々は、理論と大規模シミュレーションを併用して、カスケードによって誘起されるこうしたパターンの調整可能な波長を、生物活性系から量子系までカイラル流体中に遍在する、反対称粘性率(odd viscosity)と呼ばれる非散逸輸送係数によって設定できることを示す。反対称粘性率はスケール依存性のコリオリ類似力として働き、小さいスケールでの流れの二次元化につながるが、これは、大きいスケールで二次元化を起こす回転流体とは対照的である。また我々は、反対称粘性率の流体とは別に、大気の流れ、太陽風などの恒星プラズマ、エネルギーではなく質量がカスケードする物体や液滴の粉砕や凝固を含め、自然界の系においてカスケードによって誘発されるパターンが生じ得る仕組みを考察する。

