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分子生物学:メチル化ヒストンを標的とする治療法の作用機序と抵抗性機序

Nature 627, 8002 doi: 10.1038/s41586-024-07103-x

エピゲノムはがん関連遺伝子の発現異常を修正できるため、薬理学的介入の新しい標的となっている。また、エピジェネティックな特徴であるヒストンH3分子のリシントリメチル化(H3K27me3)を標的とすることの臨床的有用性が実証されている。しかし、実際の治療現場では、H3K27me3標的療法がその効果を発揮する機序や腫瘍細胞の応答は明らかではない。今回我々は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)患者の臨床試験での、EZH1–EZH2二重阻害剤バレメトスタットの臨床的効果、作用機序、抵抗性機序を示す。バレメトスタットの投与により腫瘍量が減少し、また、多数の遺伝子変異を持つ高悪性度のリンパ腫に対して持続的な臨床応答が実証された。単一細胞での統合解析により、バレメトスタットは、可塑性のあるH3K27me3によって形成された高度に凝集したクロマチン構造を解消させて、がん抑制遺伝子を含む多数の遺伝子座を正常化することが分かった。しかしながら、その後の長期治療では投与前の状態によく似た凝集クロマチンが再構築された抵抗性クローンの出現が見られた。バレメトスタットと結合するPRC2界面での変異獲得により、H3K27me3レベルが上昇したクローンの再増殖が引き起こされる。PRC2変異のない患者では、TET2変異あるいはDNMT3A発現の上昇により、H3K27me3関連領域に新たに出現するDNAメチル化を介して、同様のクロマチン再凝集が引き起こされる。さらに、腫瘍細胞には、後天的変異を獲得するまでの一次感受性に関与する代謝や遺伝子翻訳活性が異なる特徴を持つ亜集団が存在することが明らかになった。がんを駆動するエピジェネティックな異常とクロマチン恒常性を標的とすることは、今後の持続的なエピジェネティックがん治療の機会を提供する可能性がある。

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