ナノフォトニクス:集積ニオブ酸リチウム・マイクロ波フォトニック処理エンジン
Nature 627, 8002 doi: 10.1038/s41586-024-07078-9
集積マイクロ波フォトニクス(MWP)は、チップスケールの光学系においてマイクロ波信号の生成、伝送、操作を行う興味深い技術である。具体的には、光領域のアナログ信号を高忠実度かつ低レイテンシーで超高速処理することによって、MWPフィルター、マイクロ波信号処理、画像認識などのさまざまな応用が実現される可能性がある。理想的な集積MWP処理プラットフォームは、低電力で忠実にマイクロ波–光変換を行う効率的で高速な電気-光変調ブロックと、さまざまな信号処理タスクを実行する低損失の機能性フォトニックネットワークの両方を有するのが望ましい。さらに、この2つの構成要素を同一チップにモノリシックに集積するには、大規模で低コストの製造性が必要となる。今回我々は、4インチウエハースケールの薄膜ニオブ酸リチウムプラットフォームを用いて、そうした集積MWP処理エンジンを実証する。このエンジンは、相補型金属–酸化物–半導体(CMOS)互換電圧において、最高67 GHzの処理帯域幅で多目的タスクを実行できる。我々は、最高256ギガサンプル/秒のサンプリングレートで超高速アナログ計算(つまり時間積分と時間微分)を達成し、これらの機能を展開して、常微分方程式の解法、超広帯域信号の生成、画像のエッジ検出という3つの概念実証応用を示した。さらに我々は、この画像エッジ検出器を利用して、医療診断画像における黒色腫病変の境界の輪郭を効果的に抽出できるフォトニック支援画像セグメンテーションモデルを実現した。今回の超高速ニオブ酸リチウムMWPエンジンによって、将来の無線通信、高分解能レーダー、フォトニック人工知能向けのコンパクトで低レイテンシーかつ費用対効果の高い解決策が得られる可能性がある。

