電気化学:配位子チャネルによって可能になった超高速Liイオン伝導
Nature 627, 8002 doi: 10.1038/s41586-024-07045-4
電気自動車や電気航空機のLiイオン電池(LIB)には、高いエネルギー密度、高速充電、広い動作温度範囲が求められているが、それには、電解液が高いイオン伝導率、低い溶媒和エネルギー、低い融点を併せ持つとともにアニオン由来の無機界面相を形成する必要があるため、達成は実質的に不可能である。今回我々は、溶媒和エネルギーが低くサイズが小さい溶媒を用いることによって、そうした電解液を設計する指針を報告する。第二溶媒和鞘中の微小溶媒が第一溶媒和鞘中のLi+を引き抜き、高速イオン伝導配位子チャネルを形成してLi+輸送を促す一方、溶媒和エネルギーが低くサイズが小さい溶媒によって、アニオンが第一Li+溶媒和殻に進入して無機リッチな界面相を形成することも可能になる。我々は、フルオロアセトニトリル(FAN)溶媒を用いることで、今回の電解液設計の概念を実証する。1.3 Mリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)のFAN溶液という電解液は、25°Cで40.3 mS cm−1、−70°Cでも11.9 mS cm−1という非常に高いイオン伝導率を示し、これによって4.5 Vのグラファイト||LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2パウチ型セル(1.2 Ah、2.85 mAh cm−2)を−65°Cで充放電しても、高い可逆性(0.62 Ah)を実現できた。サイズが小さい溶媒を用いた電解液によって、LIBが高いエネルギー密度、高速充電、広い動作温度範囲を同時に達成することが可能になる。これらの要件は、現在の電解液設計では達成できないが、最先端のLIBには非常に望ましい。今回の機構は、一般化可能であり、他の金属イオン電池の電解液に拡張できる。

