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グローバルヘルス:ラストマイル配送はシエラレオネにおけるワクチン接種を増加させる

Nature 626, 8001 doi: 10.1038/s41586-024-07158-w

アフリカで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を受けた人の割合は、ワクチンの開発から18カ月後の時点でも30%に満たない。本論文で我々は、シエラレオネの遠隔農村地域の住民は、ワクチンが非常に利用しにくいという観察結果に基づいて、地域のコミュニティーを動員するとともに、ワクチンや医療従事者を、最も利用しにくい地域にラストマイル配送する介入を行った。150のコミュニティーにおけるクラスター無作為化対照試験では、この移動型のワクチン接種チームによる介入によって、48〜72時間以内にワクチン接種率が約26パーセントポイント増加したことが明らかになった。さらに、対象外集団が我々のコミュニティーのワクチン接種会場を訪れたことで、接種の実施回数が2倍以上になった。介入会場当たりのワクチン接種者が増えたため、実行費用は接種者当たり33米ドルになった。遠隔地の村に届けるための輸送が、総介入費用の大部分を占めた。従って、同じ訪問時に複数の母子保健介入とまとめて行うことで、1人当たりの処置費用はさらに削減されるだろう。ワクチン接種に関する現在の研究は、まだワクチン忌避などの個人的な行動の問題に大きな焦点を合わせている。我々の研究は、発展途上国の遠隔地の人々が直面しているアクセス困難を打開するために、移動型医療サービスを優先的に行うことは、公共医療サービスの受容に関して、より多くの利益を生み出し得ることを実証している。

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