進化学:超加算的な協力
Nature 626, 8001 doi: 10.1038/s41586-024-07077-w
ヒトが行う1回限りの協力に関して、繰り返し相互作用から得られる説明は、直観には反するが正統的である。一方、集団間の競争から得られる説明は、直観的だが非正統的である。今回我々は、モデルと行動実験を用いて、いずれの機構も協力を確実には支持しないことを示す。互恵的利他主義のモデルでは概して無視されている種類の戦略である「曖昧な互恵性」は、繰り返し相互作用の下では協力を損なわせる。この知見は、繰り返し相互作用が協力全般に関する進化的説明であるとする説に反しており、ひいては、過去の繰り返し相互作用が現在の1回限りの協力を説明できるという主張にも異議を唱えるものである。集団間の競争もまた、集団が素早く極めて類似したものになり、それによって集団選択の余地が限られるため、協力を確実に支持するものではない。さらに、集団が異なっていても、集団の競争は複数の理由で集団選択をほとんど生じさせないと考えられる。例えば、協力的な集団は、互いに競争する傾向がある可能性がある。繰り返し相互作用と集団の競争は、それぞれ単独では協力を支持しないのに対し、これら2つを組み合わせると、集団の競争が曖昧な互恵性という有害な影響を制限するために、強力な相乗効果が引き起こされる。進化した戦略は、内集団パートナーとの協力的な互恵性と外集団パートナーとの非協力的な互恵性からなることが多い。パプアニューギニアで行った行動実験の結果は、このパターンに完全に一致した。従って、その実験結果は、集団の競争のない繰り返し相互作用の進化史も、繰り返し相互作用のない集団の競争の進化史も示唆していない。我々の結果は、そのいずれでもなく、両方の機構の複合的な影響の下で進化した社会的動機を示唆している。

