構造生物学:Ca2+感受性受容体のアロステリック調節とGタンパク質選択性
Nature 626, 8001 doi: 10.1038/s41586-024-07055-2
カルシウム感受性受容体(CaSR)は、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(GPCR)の1つで、全身的カルシウム恒常性の調節に中心的な役割を果たしている。今回我々は、クライオ電子顕微鏡と機能解析を用いて、脂質ナノディスクに埋め込まれたヒトCaSRの活性化を調べ、また、カルシウム受容体作動薬シナカルセトの存在下および非存在下での機能性Giタンパク質とGqタンパク質へのその共役を比較した。高分解能構造から、GiとGqは共に、活性型CaSR二量体でさらなるコンホメーション変化を引き起こして、7回膜貫通ドメイン(7TM)の非対称界面をさらに広げて安定化しており、これには重要なタンパク質–脂質相互作用が関わっていることが明らかになった。受容体によって行われる選択的なGiおよびGqとの共役は、細胞内ループ2とC末端のかなり大規模な再配置により達成され、これは2つのGタンパク質サブタイプの結合にそれぞれ異なる影響を及ぼし、結果として異なるCaSR–Gタンパク質界面が生じる。これらの構造からは、天然ポリアミンがCaSR上の複数の部位を標的として、2つのプロトマー間の負電荷を持つ領域を閉じることで受容体活性化を増進することも明らかになった。さらに、CaSR細胞外ドメインのよく知られたリガンドであるアミノ酸のL-トリプトファンはGタンパク質共役プロトマーの7TMバンドルを占有しており、その位置はシナカルセトなどのアロステリック調節薬と同じであることが分かった。まとめるとこれらの結果は、CaSRによるGタンパク質の活性化と選択性に加えて、内在性と外因性のリガンドによるそのアロステリック調節についての枠組みを示すものである。

