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構造生物学:ミオグロビンの超高速構造動態にポンプレーザーフルエンスが与える影響
Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-024-07032-9
光誘発反応の際に起こる電子や核の変化を調べるためのポンププローブ実験は、X線自由電子レーザーからの高強度フェムト秒パルスによって可能になっている。フェムト秒からミリ秒の時間範囲で、またさまざまな生体系で、時分割シリアルフェムト秒結晶構造解析(TR-SFX)により、光誘発による異性化、化学結合の切断や生成、電子移動の詳細な構造データが得られている。しかし、現在までの全ての超高速TR-SFX研究では、1個の発色団当たり名目上は数個の光子が吸収されるような高いポンプレーザーエネルギーが使われてきた。複数の光子を吸収するとタンパク質の応答が強制的に非生理的な経路へと向かってしまう可能性があるため、このような実験方法では1個の光子が誘発する生物学的に意味のある反応に関して妥当な結論が引き出せるかどうかが、強く懸念されている。今回我々は、カルボキシミオグロビンの光解離についての超高速ポンププローブSFX実験では、ポンプレーザーフルエンスが異なると、得られる結果も著しく異なることを報告する。特に、構造変化の動態と、Fe–CO結合距離(最近の量子波束動態によって予測された)の機構的に重要なコヒーレント振動の観察された指標は、ポンプレーザーエネルギーに強く依存することが明らかになり、これは量子化学的解析と一致していた。これらの結果から、超高速TR-SFXポンププローブ実験を光励起の線形領域で行うことの実行可能性と必要性の両方が確かめられた。これは、超高速TR-SFXポンププローブ実験の設計と解釈の両方を、機構的に意味のある知見が得られるように再評価するための出発点になると考えられる。

