Article

プラズマ物理学:深層強化学習を用いて回避される、核融合プラズマのテアリング不安定性

Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-024-07024-9

トカマク炉を用いた安定で効率的な核融合エネルギーの生成には、プラズマを崩壊させずに高圧水素プラズマを維持することが不可欠である。従って、観測されるプラズマ状態に基づいてトカマクを能動的に制御して、崩壊の主原因であるテアリング不安定性を回避しながら高圧プラズマを操作する必要がある。これは、強化学習に基づく人工知能が最近目覚ましい性能を示している、障害物回避問題である。しかし、この場合の障害であるテアリング不安定性は予測が難しく、特にITERのベースラインシナリオではプラズマ動作を停止させる傾向が非常に強い。我々は以前、複数の診断とアクチュエーターからの信号に基づいて将来のテアリング不安定性の可能性を見積もる、マルチモード型動的モデルを開発した。今回我々は、この動的モデルを強化学習型人工知能用の学習環境として利用し、不安定性防止の自動化を促進する。そして、米国で最大の磁場核融合施設であるDIII-Dで、プラズマを崩壊させるテアリング不安定性の可能性を低減させる人工知能制御を実証する。この制御装置は、低安全係数と低トルクという比較的不利な条件下であっても、テアリングの可能性を所与のしきい値以下に維持した。具体的には、この制御装置によって、従来の事前プログラムされた制御では困難であったHモード性能を維持すると同時に、時間変動する動作空間内でプラズマが安定経路を能動的にたどることが可能になった。この制御装置は、ITERで将来使用される安定した高性能動作シナリオを開発する道を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度