マイクロバイオーム:胆汁酸塩ヒドロラーゼのアシルトランスフェラーゼ活性は胆汁酸の多様性を拡大させる
Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-024-07017-8
胆汁酸(BA)は、脂肪や脂溶性ビタミンの吸収に関わる胆汁中のステロイド界面活性剤であり、一方で、抗微生物特性により腸マイクロバイオームを形成する。今回我々は、腸内微生物相によるBA代謝機構を担う酵素を特定した。この機構にはBAのアシル部位へのアミノ酸抱合が関わっており、これにより一連の多様な微生物性抱合胆汁酸(MCBA)が作られる。この変換は、胆汁酸塩ヒドロラーゼ(BSH/T:bile salt hydrolase/transferase)のアシルトランスフェラーゼ活性を介することが分かった。ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のBSH/Tは、さまざまなアミノ酸と、タウロコール酸、グリココール酸、あるいはコール酸が与えられると、速やかにアシル基転移を行い、至適pHは5.3であった。ウェルシュ菌BSH/Tによるアミノ酸抱合は多様であり、プロリンとアスパラギン酸を除く全てのタンパク質性アミノ酸が含まれていた。MCBA産生は腸内細菌の間で広く行われており、細菌株特異的なアミノ酸の使用が見られた。類似したBSH/Tアミノ酸配列を持つ種は抱合プロファイルが類似しており、いくつかのbsh/t対立遺伝子は、抱合の多様性増加と相関していた。BSH/Tの三次構造マッピングとその後の変異誘発実験により、活性部位の構造がアミノ酸選択性に影響を及ぼすことが明らかになった。これらのMCBA産物には抗微生物特性があり、アミノ酸の疎水性が高いほど抗微生物活性は高かった。MCBAの阻害濃度は、哺乳類腸内の自然な条件で測定される濃度に達した。マウスに摂食させたMCBAは腸肝循環に入り、肝臓と胆嚢でのその濃度は、包含アミノ酸依存的に変化した。ヒト糞便試料中のMCBAを定量化したところ、それらは二次BAおよび一次BAと同等以上の濃度に達し、肥満外科療法後には低下することが明らかになった。これにより、MCBAは消化器の生理機能の変化によって変動し得る、BAプールの重要な構成要素であることが裏付けられた。まとめると、BSH/Tに固有のアシルトランスフェラーゼ活性は、BAの化学的性質を大きく多様化させ、マイクロバイオームやヒトの健康に影響を与える可能性のある、これまでに正しく評価されていなかった一連の代謝物を作り出している。

