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分子生物学:翻訳は機能しない転写複合体を選択的に破壊する

Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-023-07014-3

転写の伸長は、DNA鋳型中に損傷があるとそこで停止してしまう。DNAの損傷を修復するためには、立ち往生した転写伸長複合体(EC)を損傷部位から取り除かなくてはならない。今回我々は、細菌では転写と共役して起こる翻訳が、損傷したDNA鋳型から停止したECを積極的に取り除く働きをすることを明らかにした。対照的に、いったん停止してはいるがそれ以外の点では伸長に支障のないECは、リボソームによって取り除かれることはなく、その代わりに手助けを受けて再び伸長を続ける。また、リボソームの進行速度は、いったん停止しているが立ち往生してはいないECに接近すると遅くなることも分かった。これらの結果は、共役したリボソームがいったん停止したECと立ち往生して進めなくなったECとを機能的および動力学的に識別し、確実に後者だけを選んで破壊することを示している。この機能的識別は、RNAポリメラーゼ触媒ドメインのトリガーループによって制御されている。立ち往生したECの後退を引き起こすとされる転写共役DNA修復ヘリカーゼUvrDは、リボソームを介したECの除去には干渉しないことも明らかになった。それに対して、転写共役DNA修復トランスロカーゼMfdは翻訳と相乗的に働いて、リボソームによって破壊されなかった立ち往生しているECを取り除く。さらに、共役したリボソームが、誤って取り込まれて複製との競合の原因になりかねないECを効率よく破壊することも分かった。我々は、翻訳との共役は、機能しないECをゲノムから除去するための古くからある主要機構の1つであると考える。

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