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神経科学:他者中心的な目標を自己中心的な舵取り信号に変換する

Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-023-07006-3

空間ナビゲーションに関係するニューロン信号は、多くの動物種で調べられてきた。しかし、そうした信号がどのように相互作用してナビゲーション行動を導くのかに関する、回路レベルの理解は乏しい。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の中枢複合体で、共に外界中心(他者中心)の座標に符号化されている頭方向と目標方向の内的に生成された見積もりを比較して身体中心(自己中心)の舵取り信号を生み出す、ニューロン回路の特徴を明らかにする。過去の研究では、EPGニューロンの活動は、ナビゲーション中のハエのその瞬間の角度方向(頭方向)を表現していると示唆されてきた。しかし、動物のその瞬間での頭方向は、自身が進もうとしている他者中心的な方向である目標方向と常に一致しているとは限らない。今回我々は、ショウジョウバエ脳の第二のニューロン群として、ハエの目標方向と相関した活動を示すFC2細胞群を見いだした。前進歩行中のハエで、FC2ニューロンに焦点を合わせて光遺伝学的活性化を行うと、ハエは実験者が決めた方向に定位した。EPGニューロンとFC2ニューロンは、第三のニューロンクラスであるPFL3細胞群に単シナプス的に結合している。目標に向けたナビゲーション中、個々のPFL3細胞は、頭方向と目標方向の両方に対して同時に発火率の同調を示した。これら3つの細胞クラスの解剖学的・生理学的な特性の情報に基づいて、我々は、この回路がどのようにして他者中心的な頭方向と目標方向を比較し、PFL3の出力端に自己中心的な舵取り信号を構築するかを説明するモデルを考案した。このモデルは、PFL3活動の定量的解析と光遺伝学操作によって裏付けられた。さらに我々は、新規のナビゲーション記憶課題を用いて、PFL3細胞のサブセットのシナプス伝達を妨げる因子を発現するハエでは、任意の目標方向に沿って体を向ける能力が低下し、その影響の規模が我々のモデル予測と量的に一致したことを示す。今回報告した生物学的回路によって、集団レベルの2つの他者中心的な信号が脳内でどのように比較され、運動の制御に適した自己中心的な出力信号が作られるかが明らかになった。

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