ウイルス学:HIV-1のキャプシドは輸送受容体のように核膜孔のFG相に入る
Nature 626, 8000 doi: 10.1038/s41586-023-06966-w
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の感染には、このウイルスゲノムが核へ侵入する必要がある。これまでの証拠から、この侵入は核膜孔複合体(NPC)を介して進行すること、つまり120 × 60 nmのキャプシドが、幅約60 nmのNPC中央チャネルに押し込まれ、NPCの透過性バリアを通過することが示唆されている。このバリアは、凝集性の相互作用を行うフェニルアラニン–グリシン(FG)リピートから組み立てられていて、核輸送受容体(NTR)が捕捉した積み荷を選択的に透過させるFG相であると説明できる。今回我々は、HIV-1キャプシドの集合体が、NTR非依存的にNPCを効率的に標的化できること、そして、バリアを形成する凝集性リピートなどのいくつかのタイプのFGリピートに直接結合できることを示す。このキャプシドは、NTRと同様に、in vitroで組み立てられた凝集性FG相(NPC模倣体として機能できる)内に分配されやすく、mCherryのような、はるかに小さく輸送されないプローブを排除する。実際、このようなFG相へのキャプシドタンパク質の侵入は、キャプシドの組み立てによって大きく増強され、キャプシドに封入されたクライアント分子の侵入も可能にする。従って我々のデータは、HIV-1キャプシドがNTRのように振る舞い、その内部は積み荷コンテナとして機能することを示している。トランスに作用するNTRで覆われたキャプシドの直径は10 nm以上大きくなるため、このような「自己移行する」キャプシドは、NPC足場によるサイズ制限を弱め、ウイルス感染に対して通常は有効なバリアを回避していることが示唆される。

