分子生物学:精製したタンパク質で観察された、コヒーシンとDNA複製の協調
Nature 626, 7999 doi: 10.1038/s41586-023-07003-6
細胞分裂の際にゲノムが次世代に必ず正確に受け継がれるために、新たに複製されてできた2個のゲノムDNAコピーは、環状のコヒーシン複合体によって接着した状態で保持される。コヒーシンは、DNA複製の際に2本の娘DNAをコヒーシン環でトポロジカルに捕捉することによって姉妹染色分体間接着の形成を引き起こすが、複製フォークでどのようにして接着が形成されるのか、詳細は分かっていなかった。今回我々は、精製したタンパク質を使って機能を持ったレプリソームを再構成して、コヒーシンと複製の関係を調べた。複製前にいったんDNAを抱くように結合すると、コヒーシン環は複製の間中ずっと、すなわち開始から終了までそのままとどまって複製を完了させるので、新たに合成されたDNAもトポロジカルに捕捉された形になる。これは、コヒーシンのトポロジカル結合が、複製と協調していくための分子レベルの必須条件であることを示唆している。それと矛盾するようではあるが、コヒーシンのトポロジカルな結合は、それ自体が非常に律速的であり、複製に適した生理的塩濃度の下ではめったに起こらない。この矛盾を解決するのが、レプリソームに結合した接着構築因子Chl1ヘリカーゼとCtf4であり、これらの因子が複製の継続中にコヒーシンの結合を特異的に促進する。また、DNAをほどいた状態を模したバブル状DNAがコヒーシンのトポロジカル結合を引き起こすことと、Chl1がこれをさらに促進することも分かった。このように、コヒーシンは複製の際などのように、酵素活性によってほどけたDNA構造に出合うと、最初の静電的なDNA結合様式をトポロジカルなDNAを抱くような様式に変えると考えられる。これらの結果を総合することにより、コヒーシンが最初にどのように複製に応答するのかが明らかになり、姉妹染色分体間接着が形成される分子モデルが得られた。

