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消化器がん:肝硬変前の肝臓ではマトリックスの粘弾性が肝がんの進行を促進する

Nature 626, 7999 doi: 10.1038/s41586-023-06991-9

2型糖尿病は肝細胞がん(HCC)の主要なリスク因子である。細胞外マトリックス(ECM)の構造的機能の変化は発がんに関与しており、硬度の増大は肝硬変状態でのHCC進行を促進することが知られている。2型糖尿病には、ECM中に終末糖化産物(AGEs)が集積するという特徴があるが、これが非肝硬変状態にあるHCCにどのような影響を与えるのかは不明である。今回我々は、患者と動物モデルでは、AGEsがコラーゲン構造の変化を促進し、ECMの粘弾性を増強するとともに、粘性散逸を高め、応力緩和を速くするが、硬度は変化させないことを見いだした。高レベルのAGEsと高い粘弾性に発がん性βカテニンシグナル伝達が組み合わさると、HCCの誘導が促進されるが、AGE産生の阻害、AGEクリアランス受容体AGER1の再構成、もしくはAGEを介したコラーゲン架橋の破壊を行うと、粘弾性およびHCC増殖が抑制された。マトリックスの解析と計算モデル化により、AGEを包み込んだコラーゲンマトリックスの相互接続性の低下(繊維長の短縮と不均一性増大を特徴とする)は、粘弾性を増強することが明らかになった。機構的には、動物での研究と3D細胞培養から、粘弾性の増強がインテグリンβ1–テンシン1–YAPメカノトランスダクション経路を介して、HCC細胞の増殖と浸潤を促進することが示された。これらの結果は、AGEを介した構造変化がECMの粘弾性を増強すること、そして粘弾性は硬度とは無関係に、in vivoでがんの進行を促進する可能性があることを示している。

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